鉄道好きでも難しい!仙石東北ラインは超複雑で超重要!運転系統を徹底解説!【常磐線運転再開の旅】

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高速バスで仙台に来ました。

今回から「常磐線運転再開の旅」をお伝えします。

仙台駅の東口です。
ここを見ると仙台に来たという感じがします。
今回はここから仙石線方面に行きます。
仙台では地下ホームから仙石線が出ていますが、仙石線の高木町よりも先に行く場合には地上ホーム、東北本線ホームから出る仙石東北ラインを使う方が速いです。
仙石東北ラインは有名な割にJR東日本でもトップクラスにわかりにくい系統として知られています。
地図を使ってご説明します。
(地理院地図)

青が仙石線、赤が東北本線です。
東北本線が内陸寄り、仙石線が海寄りを走行しているものの、松島のあたりでかなり接近することがわかります。
しかし、なぜここまで同じようなルートで路線建設を行ったのでしょうか。普通ならばどちらかのみで通し、途中から支線として分岐させるのが効率的な建設の仕方かと思われます。
これは仙石線と東北本線と歴史的な大きな違いが影響しています。
そもそも仙石線は私鉄の宮城電気鉄道によって計画されたものです。
当初は宮城県庁から鉄道省仙台駅を経由して松島へとつなぐ鉄道として計画されていましたが、後に石巻までとされました。
関東大震災以後は現在の日本生命が後ろ盾となり、経営を行なっていたそうです。
実は昭和の時代までずっと宮城電気鉄道として経営されてきました。
それが変わったのは1944年。太平洋戦争下での戦時買収で国有化されたのです。
これは沿線に陸軍の仙台製造所、多賀城の海軍施設、矢本飛行場を抱えていたためで軍事的に重要な路線とされたのです。
国有化の時期が大変遅いために東北地方では当たり前だった交流電化ではなく、直流電化で建設されていました。
そのため、周辺の国鉄路線、例えば東北本線などとの関係は必ずしもうまく行かず、JR東日本発足直後から持ち上がっていた東北本線と仙石線の直通運転は交直流車両導入の高コストを理由に実現せずにいました。
そんな中、2011年に東日本大震災が発生。
海沿いを走る仙石線は甚大な被害を受けました。電化設備は被害状況調査すら不可能なほどにまで破壊されていたのです。車両も営業中の列車まで流されてしまうほどでした。
仙石線の全線復旧は2015年5月30日になりました。それに合わせて震災からの復興を後押しするため、JR東日本は地元にとって長年の悲願だった東北本線と仙石線の直通運転を開始し、「仙石東北ライン」と呼ぶことにしたのです。
一般的にこのような交流電化区間と直流電化区間を直通運転するには交直流車両を導入しますが、コスト削減のため、最新技術のハイブリッド気動車、HB-E210系で運転することになりました。
この仙石東北ラインは仙台から石巻への圧倒的な速達性をもたらすことになりました。
これまで仙石線周りでは仙石東北ラインとの合流駅となった高城町まで榴ヶ丘、宮城野原、陸前原ノ町、苦竹、小鶴新田、福田町、陸前高砂、中野栄、多賀城、下馬、西塩釜、本塩釜、東塩釜、陸前浜田、松島海岸、高城町と40分以上かかっており、待避設備の関係で快速運転は不可能でした。
仙石東北ラインのルートである東北本線経由では東仙台、岩切、陸前山王、国府多賀城、塩釜、高城町となっており、所要時間も停車型の快速(仙石東北ラインは快速か特別快速のみの運転)で30分ほどと10分以上の短縮となりました。
もう一度地図を見ていただければわかりますが、多賀城市付近で東北本線は直線的になっているのに対して仙石線は大きく海側に迂回しています。
さらに東北本線は駅間が長く高速走行が可能なのに対して仙石線は駅数も多く、高速走行が難しいのです。
車内は東北本線のE721系に大変近いデザインですが、乗降口高さは首都圏向けの205系などに合わせてある仙石線でのものに対応しているため、東北本線内ではドアからホームまでの段差が発生します。
仙台を発車です。
今回乗車したのは赤快速と呼ばれる列車です。仙石東北ラインでは快速と特別快速が運転されますが、快速は赤快速と緑快速に分かれます。
赤快速は速達型で仙台を出ると、塩釜、高城町に止まります。緑快速は停車型で仙台を出ると、東仙台、岩切、陸前山王、国府多賀城、塩釜、高城町に止まります。赤快速も緑快速も高城町からの停車駅は同一で野蒜、陸前小野、矢本、陸前赤井、蛇田、陸前山下、石巻に止まります。(一部列車は石巻あゆみ野に停車)
特別快速は1日1往復のみ設定されている列車で仙台を出ると、塩釜、高城町、矢本、石巻に止まります。
快速の一部は石巻線に直通し、女川まで運転されますが、石巻線内は各駅に止まります。
奥には東北新幹線が見えます。
ハイブリッド気動車は気動車ですが、エンジンで発生したエネルギーは発電のために使われ、発電機からの電気と蓄電池からの電気でモーターを回して運転されます。そのため、効率的な電車のシステムを最大限に活かすことができ、注目されている技術なのです。
加速中は常に猛烈なエンジン音を出しながら走る通常の気動車に対してハイブリッド気動車は基本的にエンジン音は一定でモーター音もしてくるとても不思議な乗り物です。個人的な感想としては通常の気動車よりも乗り心地の面では良いような気もしました。
東北本線内もバシバシ駅を飛ばしていきます。
赤快速は高需要時間帯のみの運転ですが、仙台から東北本線内、塩釜まで12分間無停車でぶっ飛ばしますので、大変気持ち良い走りを見せてくれます。
横に線路が見えてきました。
奥の海は日本三景の一つとして知られる松島の海です。
仙石線と大変近くを走る区間です。
逆に2015年まではこれだけ近くを走っているのに接続駅もなく、直通運転もなかったのですから驚きです。
先ほどから仙石東北ラインと仙石線の接続駅は高城町とお伝えしていますが、東北本線は全く持って高城町駅には来ていません。
実際には松島駅の直前(書類上は松島駅構内として扱われるため、仙石東北ラインは全列車が松島駅を通過しつつ経由しているという取扱)にある接続線を通り、仙石線の高城町に出ます。
もし、きっぷを高城町から松島駅などで購入した場合、仙石東北ラインを利用すると高城町から東北本線に乗り換えるための塩釜に行く途中に一度松島を経由し、塩釜から東北本線で松島に行くため、松島を2度経由してしまう不正乗車となりますが、特例区間となっています。
下には仙石線の205系。
確かに別の鉄道会社となっていたのも納得です。
この微妙な距離感が横浜〜品川駅間の東海道線と京急線の関係に見えてきます。
高城町に到着です。
これで完全に仙石線に入りました。
仙石線は本当に海の近くを走ります。
また再びこの美しい海を見られていることに復旧に尽力された方や今も復興のために働かれている方などに感謝したいです。
今後もできることから復興を後押しできればと思っています。
ここからは内陸移設区間です。
津波の被害があまりにも甚大であったために町自体が内陸移設等を行なっているところがあり、それに合わせたり、今後の災害対策の意味があるんだそうです。
野蒜に到着です。
次回の「常磐線運転再開の旅」は!
津波の被害を受けた野蒜駅をご紹介します。
お楽しみに。



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